わだち掘れ・スパイクタイヤ規制
わだちぼれ・すぱいくたいやきせい
わだち掘れ・スパイクタイヤ規制とは
わだち掘れ(わだちぼれ)とは、道路舗装において車両の反復走行に伴い、車輪通過位置(ホイールパス)に沿って路面に縦断方向の帯状の窪みや凹凸沈下が生じる路面破損現象のこと。主に夏季の高温下でアスファルト混合物が塑性流動を起こす「流動型わだち掘れ」と、車両のタイヤや滑り止め器具との摩擦によって舗装表面が削り取られる「摩耗型わだち掘れ」、および下層路盤や路床の締固め不足・支持力不足に起因する構造的沈下に大別される。わだち掘れが進行すると、窪み部分への雨水の滞水によるハイドロプレーニング現象の誘発や、ハンドルをとられることによる走行安全性の低下、横断勾配の乱れによる排水不良など重大な交通障害をもたらす。土木施工管理においては、耐流動性に優れた改質アスファルト混合物の選定、適正な転圧温度と締固め密度の確保、平たん性試験やホイールトラッキング試験による品質確認が極めて重要となる。
全国の基準
車道及び側帯の舗装の構造の基準に関する省令第1条第2号において、舗装のわだち掘れ抵抗性を評価する「塑性変形輪数」は、表層の温度を60度とし、49kNの輪荷重を繰り返し加えた場合に路面が下方に1mm変位するまでに要する回数と定義され、同令第3条第2項により道路区分および交通量に応じた基準値の確保が義務付けられている。また、舗装路面の急激な摩耗とそれに伴う粉じん公害を根絶するため、スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律第7条において、指定地域内のセメント・コンクリート舗装およびアスファルト・コンクリート舗装道路において路面が積雪・凍結状態にない場合のスパイクタイヤ使用が禁止されており、違反者には同法第8条により10万円以下の罰金が規定されている。全国の道路管理基準では、これら法令に基づき、夏季の高温による塑性変形抑制と冬季の路面摩耗防止を両立する舗装構造設計が標準化されている。
教科書どおりにいかないところ
教科書や全国基準では「わだち掘れ対策=耐流動性アスファルトの採用と十分な締固めによる塑性変形防止」と教わり、スパイクタイヤ規制は解決済みの過去の公害対策とみなされやすい。しかし積雪寒冷地の北海道では、スパイクタイヤ規制の定着がもたらした「新たな冬季路面環境と夏季維持管理の複合矛盾」という独自の実務課題に直面する。かつて北海道の冬道はスパイクタイヤによる激しい舗装摩耗(摩耗型わだち掘れ)と粉じん被害に苦しんだが、法規制とスタッドレスタイヤへの完全移行で摩耗型わだちは激減した。その反面、スタッドレスタイヤによる圧雪路面の磨き上げによって極めて滑りやすい鏡面化路面(ツルツル路面)が多発するようになった。さらに、従来の耐摩耗性配合から全国標準の耐流動性配合への切替えに伴い、大型車交通量の多い交差点等では夏季の高温期に塑性流動によるわだち掘れが顕在化し、窪みに生じた水たまりが冬期に氷結して車両の制御不能を招く。北海道の実務では、耐流動性の確保だけでなく、冬期のすべり抵抗性を高めるグルービング工法や排水性の確保など、寒冷地特有の総合的な路面管理が不可欠となる。
現場での扱い方
耐流動性と耐摩耗性を両立する改質アスファルト混合物の選定
大型車の制動・発進が集中する交差点や登坂車線では、夏季の高温による塑性流動と冬期のチェーン等による局所摩耗を同時に抑制するため、ポリマー改質アスファルト混合物等を採用する。骨材の粒度調整や配合試験においてホイールトラッキング試験を実施し、耐流動性能を確保する。
凍結路面のすべり事故防止と排水を促進するグルービング工法
スタッドレスタイヤの普及に伴う圧雪・凍結路面の鏡面化やすべり事故を防止するため、舗装供用面へのグルービング工法(縦溝・横溝加工)を適切に施工する。溝切りによってタイヤとの摩擦抵抗(すべり抵抗性)を高めるとともに、融雪水や雨水の速やかな側方排水を促進して滞水による路面凍結を防ぐ。
わだち掘れ補修時における切削オーバーレイと段差すりつけ管理
わだち掘れの進行した既設舗装を補修する際は、窪み部分への路上切削オーバーレイ工法を適用し、路面不陸と横断勾配を確実に復元する。冬期の除雪グレーダーやプラウの排雪板が切削端部の段差に引っかかり舗装を破損させる事故を防ぐため、既設舗装とのすりつけ勾配を緩やかに仕上げる。
資格試験での出題
2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(専門土木:道路・舗装)において、アスファルト舗装の破損形態(わだち掘れ・ひび割れ)、塑性変形輪数(ホイールトラッキング試験)、および路面の維持修繕工法(切削オーバーレイ等)に関する知識が出題される。
参考(一次情報)
- スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律 第7条(スパイクタイヤの使用の禁止)、第8条(罰則) ↗出所:e-Gov法令検索/確認日:2026-09-24
- 北海道建設部 土木技術-積雪寒冷地対策 P.1 道路構造・すべり抵抗性・グルービング工法 ↗出所:北海道建設部/確認日:2026-09-24
関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 148社
出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。
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