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施工管理がきついのはあなたのせいじゃない|板挟みの構造

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施工管理がきついのはあなたのせいじゃない|板挟みの構造

Photo by Unsplash

施工管理がきつい、毎日怒られる、1年目だが辞めたい。そう感じているなら、原因はあなたの能力ではなく、調整の責任だけを負わされて決定の権限を持てていないという構造にあります。

この記事では、なぜ「上司に相談する」だけでは板挟みが終わらないのかを説明し、権限がない側でも明日から取れる手を示します。そのうえで、権限がきちんと設計された会社をどう見分けるかを、北海道の公的な記録から確かめる方法として紹介します。

施工管理が「きつい」と1年目で辞めたいあなたへ

施工管理は、工程・品質・原価・安全を同時に見ながら、施主と職人と自社の間に立つ仕事です。労働時間の長さが語られがちですが、辞めたいと感じている人の話を聞くと、時間よりも「誰にも決められないことの責任を自分が取らされる」ことのほうが重いと言います。

そして、この苦しさは真面目な人ほど深くなります。相手の要望を汲もうとするほど、汲みきれなかった部分が自分の落ち度に見えてくるからです。

競合が言う「上司に相談」が機能しない理由

上司への相談は有効です。ただし板挟みで苦しんでいる状況では、機能しないことのほうが多くなります。

理由は2つあります。上司自身も板挟みの当事者であること、そして的を射た対応が返ってこないことです。

さらに板挟みの難しさは、流れが複雑に縺れる点にあります。目の前の問題を解決しても、それがまた次の問題を生みます。相談を受ける側は現場を離れているうえに、報告してくるあなた自身が冷静な判断をできなくなった状態にあるため、その視点から助言を求める形になります。結果として、その場しのぎに終わりやすいのです。

つまり、これは相談の仕方が下手だから起きているのではありません。会社の問題として継続的に対処されないかぎり抜けられない類の問題です。個人の努力で解こうとし続けると、解けないまま自分を責めることになります。

板挟みで「毎日怒られる」原因は権限と責任の不一致

板挟みの正体は、調整の責任だけを負い、決定の権限を持たない状態です。

施主は「なんとかしてほしい」と言い、職人は「そっちでなんとかしてくれ」と言います。どちらの要求も、あなたに決定権があることを前提にしています。ところが実際には、費用の増減も工程の変更も、あなたの一存では決められません。決められないことについて謝り続ける役割だけが残ります。

これは能力の問題ではなく、役割の設計の問題です。権限のない人に調整を任せている会社では、担当者が誰に替わっても同じことが起きます。

施主と職人の間で潰れる構造的な具体例

数年前、地域の工務店で営業を担当していた人から聞いた話です。

事務所の新築案件で、勤務先には「舗装と造成は施主と業者が直接やり取りする」というルールがありました。ところが業者は直接の対応を嫌がり、施主も「詳しくないから分からない」と言います。結果として、営業だったその人が図面で意図を伝え、承認を取りながら実質の指示を出していました。

工事が終わったあと、施主から電話が入ります。「法面をもう少し伸ばせないか」。「そこはもう終わっています」と答えると、こう返されました。

図面や現地確認だけじゃ分からないでしょう。進んでみないと分からないこともあるんだから対応してもらわないと。

業者に確認すると、今度はこう言われます。

ちゃんと図面で確認したよね。こっちはそんなに余裕ないんだよ、おたくの方でなんとかしなよ、知らないからね。

そして電話を切られました。

注目してほしいのは、この人が会社のルールを破ったわけではないという点です。ルールが現実に合っていなかったため、空いた穴に立たされただけです。それでも要求と怒りは、その穴に立っている人へ集まります。

このあと本人は業者に正面から確認しましたが取り合ってもらえず、上司に報告したところ現場監督に任せる判断になりました。現場監督が対応してくれたものの、施主の要望と怒りは本人のところへ戻り続けます。最終的に体調を崩し、その出来事がきっかけで退職しました。

権限がない現場での対処法とパワハラ回避術

構造の問題だと分かっても、明日の現場は来ます。権限がない側でも取れる手はあります。ただし、よく言われる「ヒアリング力を磨く」「報連相を徹底する」とは少し違う話です。

味方は上司ではなく現場を把握している人

無理な要求を断れるかどうかの分かれ目は、会社の後ろ盾と、担当の現場監督などのサポートがあるかどうかでした。

ここで効くのは、上司よりもその施主と現場を実際に把握している人をどれだけ味方につけられるかです。決裁権を持つ人が現場を知らない場合、その人の後ろ盾は「断ってよい」という判断まで届きません。一方、現場を把握している人が同じ認識を持っていれば、断る理由を一緒に説明してもらえます。

自分ひとりで断ろうとしないでください。断れなかったのは押しが弱いからではなく、隣に立つ人がいなかったからです。

範囲を限定して職人に動いてもらう

信頼関係は大前提として、整理されていない思考で依頼しても納得はしてもらえません。

まず自分の思考を整理し、その業界の基準に沿って細かく指示・相談することです。職人は面倒なことを嫌いますし、新人教育は本来の仕事ではありません。面倒見のいい人もいますが、期待はしないほうがいいでしょう。職人はプロなので、こちらもプロとして向き合う必要があります。

とはいえ、全方面でプロになるのは時間的に無理です。そこで範囲を切ります。

「その瞬間のその問題を解決するのに十分な範囲だけ」を、職人と同じレベルで話せるまで情報と思考を整理する。 そのために先輩や上司に確認を取り、自分でも調べてまとめます。

全部を分かろうとすると一生かかりますが、目の前の1件に絞れば数時間で届きます。動いてもらえるかどうかは、この絞り込みができているかで決まります。

北海道の建設会社から「板挟みが少ない会社」を探す

ここまでが、いまの現場でできることです。ただし冒頭に書いたとおり、これは会社として対処されないかぎり終わらない問題でもあります。そこで、権限がそもそも設計されている会社をどう見分けるかを考えます。

判断の基準になるのは、離職率と採用背景が透明であること、そして分業が進んだうえで、それぞれの役割と権限が明確で、担当する範囲がはっきりしていることです。

問題は、この基準を応募前にどう確かめるかです。Tsukurasのデータベースには北海道の建設会社24,607社を掲載していますが、そこから見えてきたのは、そもそも会社の情報を外から確かめること自体が難しいという実態でした。

道内の建設会社は、確認できた企業のおよそ6割でサイトが見つからない

Tsukurasで公式サイトの有無を実際に確認した6,677社のうち、サイトが見つかったのは39.4%でした。

ここで母数を落とさないでください。これは「北海道の建設会社の6割がサイトを持っていない」という意味ではありません。確認を実施した6,677社の範囲で、見つからなかったという意味です。

それでも、応募先を選ぶ側にとっての意味は変わりません。求人票以外に判断材料がない会社が多数あるということです。社風や働き方を会社の発信から読み取ろうとしても、読み取る対象が存在しないケースに何度もぶつかります。

だからこそ、発信の有無ではなく公的な記録から確かめる必要があります。

入札参加資格の加点項目から労働環境の記録を読む

北海道は入札参加資格の審査で、労働環境に関わる取り組みを加点しています。自己申告ではなく審査を経た記録なので、外から確かめられる材料になります。

建築工事に対応する7,993社を母数にすると、加点の内訳はこうなっています。

加点項目企業数
働き方改革推進企業(ホワイト)16社
働き方改革推進企業(ゴールド・シルバー)19社
働き方改革推進企業(ブロンズ)49社
通年雇用88社
女性の活躍支援66社

読むときに、3つ気をつけてください。

第一に、母数には名簿に載っていない企業も含まれます。そのため実態より低く出ます。第二に、加点は申請ベースです。認定が無いことは悪い証拠になりません。申請していない優良企業は必ずいます。

そして第三に、これが最も大事な点です。加点項目の中に「役割と権限の明確さ」を示すデータはありません。 先ほど挙げた判断基準のうち、公的な記録で確かめられるのは働き方への姿勢の一部だけです。数字で分かることと、面接で聞くしかないことは分けて扱ってください。

なお、「Webで発信している会社ほど労働環境がよい」とは言えません。Tsukurasで入札名簿に載る企業に絞って発信の有無と加点の関係を調べたところ、21項目のうち20項目で、発信している会社のほうが加点の保有率が低いという結果でした。発信の有無は、労働環境の代わりにはなりません。

別の角度として、厚生労働省のユースエール認定があります。若者の採用・育成に積極的で、離職率や残業時間などの基準を満たした中小企業を国が認定する制度で、認定企業は若者雇用促進総合サイトから検索できます。離職率が公表されるという点で、先ほどの判断基準に直接あたります。

道内では、帯広市の西江建設株式会社や弟子屈町の辻谷建設株式会社がこの認定を受けています。数は多くありませんが、認定を受けている会社は離職率を外に出す判断をしているということです。

うつ病になる前に。限界なら逃げる選択と次の一歩

ここまで自衛策と会社の見分け方を書いてきましたが、前提として伝えたいことがあります。

逃げることは、耐えることと対等な選択肢です。 先ほどの営業担当の人も、最終的には体調を崩して退職しました。その判断が間違っていたとは思いません。

眠れない、食べられない、朝に体が動かないといった状態が続いているなら、それは根性の問題ではありません。医療機関に相談してください。ここで「これはうつ病です」と判断することはできませんが、判断できる人に会うことはできます。

精神的に追い詰められたときの公的相談窓口

いますぐ話を聞いてもらえる窓口があります。

  • こころの健康相談統一ダイヤルは 0570-064-556 です。都道府県・政令指定都市が実施する公的な電話相談につながります
  • 厚生労働省のこころの耳には、働く人のメンタルヘルス情報と相談窓口の一覧があります

そのうえで、実際に辞めた人の言葉を置いておきます。1年目の自分に何と言うかと聞いたときの答えです。

「ころされはしない。」問題に向き合うにしても、逃げて環境を変えるにしても、ころされはしない。施主も協力業者も会社の人も、あなたをころしたいとは思っていない。少し楽観的に考えて、良い悪いの話ではなく、いろんなものを少し手放して考えてみてほしい。そのうえで、あなたがどうしたいか。軽くなった気持ちで少し考えてみてほしい。

これは「限界まで我慢しろ」という意味ではありません。手放してよいものがある、という意味です。全部を背負ったまま考えると、選択肢は「耐える」しか見えなくなります。

Tsukurasの企業データベースで環境を探す

環境を変えると決めたなら、求人票の文言ではなく記録から会社を確かめてください。

Tsukurasの企業データベースでは、北海道の建設会社を国税庁の法人番号公表サイトや北海道入札参加資格者名簿などの公的データをもとに掲載しています。市町村や工事の種類で絞り込み、入札参加資格の等級や加点項目、建設業許可の状況を会社ごとに確認できます。建設業許可そのものは、国土交通省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムでも調べられます。

あわせて読むと判断しやすい記事も置いています。

板挟みが起きにくい会社かどうかは、最後は面接で役割と権限の線引きを聞くしかありません。ただ、聞く相手をどう選ぶかまでは、公的な記録から絞り込めます。

会社を探すところから始めるなら、Tsukurasの企業データベースからどうぞ。