Tsukuras
土工

凍上・凍結深度

とうじょう・とうけつしんど

凍上・凍結深度とは

凍上とは、冬期の気温低下に伴い地中の水分が凍結し、毛管現象によって下方の地下水が凍結面へ吸い上げられて氷の層(アイスレンズ)を形成し、地盤が持ち上がる現象のこと。春先の融解期には凍結していた氷が溶けて地盤が極度の飽和状態となり、路盤の支持力が失われて舗装のひび割れや破壊を招く。一方、凍結深度とは、冬期の厳しい寒気によって地盤が凍結する最大の深さであり、地域の寒冷度を示す凍結指数に基づいて設定される。土木施工では、路床の凍上破壊を防ぐため、設計凍結深度に達する深さまで凍上を起こしやすい土を砂利や砂などの非凍上性材料に置き換える置換工法(凍上抑制層の設置)や、地下水の毛管上昇を遮断する遮断層の設置、地下水位を低下させる排水工などの対策が講じられる。北海道をはじめとする積雪寒冷地の土木工事において、構造物の長期的な安定性と品質を左右する基礎的かつ不可欠な管理概念である。

教科書どおりにいかないところ

教科書では「凍上対策は、設計凍結深度に応じて路床部を非凍上性材料で置き換える置換工法(凍上抑制層)などの対策を施せば防げる」と、幾何学的な断面設計の工法として教わる。しかし北海道の実務現場では、机上の計算通りには全く進まない。最大の要因は「根雪」と「除雪」が地中温度に与える劇的な影響である。積雪が多い地域では雪が断熱材となって地中深く凍らない一方、道東などの寡雪極寒地域や、冬期に除雪されてアスファルトが露出する車道部では冷気が直接侵入し、設計時の想定を大きく超えて凍結が進行する。さらに北海道特有の「冬期閉鎖」と「通年雇用維持」の狭間で初冬に土工を強行すると、転圧中の路床に凍土が混入し、翌春に融解沈下を起こす重大事故に直結する。実務では単に材料を敷き均すだけでなく、北海道建設部土木工事共通仕様書で規定された凍上速度「0.1㎜/h以下」や砂の75μmふるい通過量「6%以下」といった微細な粒度基準を厳守した材料確保と、日々の降雪・除雪状況に応じた保温養生が要求される。「計算で決まる凍結深度」と「雪と除雪で激変する現場の凍結環境」の乖離を制御するのが、北海道の土工管理の本質である。

現場での扱い方

  • 除雪状況で実質凍結深度は激変する

    同じ地域でも、日常的に除雪されて舗装面が露出する車道部は地中深くまで凍結し、路肩や法面のように根雪で覆われた箇所は雪が断熱材となって凍結が浅く抑えられる。施工ヤードや仮設道路の除雪有無によって地盤の凍結速度が全く異なるため、冬期施工中の掘削や路床露出部では積雪の断熱効果を計算に入れ、シートや雪による保温養生を適切に使い分ける。

  • 凍上抑制層材料の微粒分混入を徹底排除する

    凍上抑制層に用いる材料は、現場搬入時のダンプタイヤ泥や雨水による細粒分の混入を厳禁とする。北海道建設部土木工事共通仕様書では砂の75μmふるい通過量が6%以下、切込砂利では4.75㎜ふるい通過量に対し75μm通過量が9%以下(破砕面30%以上で12%以下)と極めて厳しく制限されており、微粒分がわずかに混ざるだけで非凍上性から凍上性へと変質し春先の路面破壊を招く。

  • 凍結した土塊は盛土・路床に絶対に巻き込まない

    初冬の施工で一度凍結した土塊を「転圧すれば砕ける」と盛土や路床に巻き込むと、春の融解期に内部の氷が溶けて局所的な軟弱化や大規模な沈下・法面崩壊を引き起こす。外気温が氷点下になる時期は1日の施工厚を確実に締め固められる範囲に管理し、夜間の凍結を防ぐ保温を行うか、凍結した表層土は削り取って場外搬出する判断が不可欠となる。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士2級土木施工管理技士試験では、凍上現象が発生する3要素(温度・土質・水)の組み合わせや、置換工法・遮断工法・断熱工法といった凍上抑制対策工の仕組み、路床・路盤材料の品質要件が頻出論点。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 148社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

この用語について

分からなかった点や、現場でのエピソードを運営に送れます。送った内容がこのページに表示されることはありません。

種別