寒中コンクリート
かんちゅうこんくりーと
寒中コンクリートとは
寒中コンクリート(Cold Weather Concrete)とは、日平均気温が著しく低下し、打ち込まれた生コンクリートが凝結・硬化の初期段階で凍結するおそれのある期間に施工されるコンクリートのこと。低温環境下ではセメントの水和反応が極度に遅延し、強度の発現が遅れるだけでなく、水分が凍結して体積膨張を起こす「初期凍害」を受けると、内部組織が破壊されて所定の強度や耐久性、水密性が恒久的に失われる。これを防止するため、材料の加熱、運搬時の保温、打ち込み時の温度管理、打設後の給熱養生や保温養生、型枠・支保工の存置期間の延長など、硬化初期の凍結防止と所要強度の早期確保を目的とした特別な計画および品質管理のもとで施工が行われる。
全国の基準
国土交通省の土木工事共通仕様書(案)第1編共通編第3章第10節「寒中コンクリート」の1-3-10-1(一般事項)第2項に基づき、受注者は「日平均気温が4℃以下になることが予想されるときは、寒中コンクリートとしての施工を行わなければならない」と規定されている。また同節1-3-10-3(養生)に基づき、施工者は養生方法および養生期間について事前に計画書を策定し、「養生温度を5℃以上に保たなければならない」と定められている。硬化の極初期に凍結して強度が著しく損なわれる初期凍害を回避するため、適切な保温養生や給熱養生によりコンクリート温度を維持することが標準とされる。
教科書どおりにいかないところ
資格試験や本州の教科書では「日平均気温が4℃以下になったら寒中施工とし、養生温度を5℃以上に保ち初期凍害を防げばよい」と画一的に教わるが、厳冬期に厳しい氷点下の寒気にさらされる北海道の現場では、教科書通りの簡易なシート保温など全く通用しないという厳しい現実が存在する。寒風にさらされた型枠や鉄筋は強力な冷却源となり、生コンクリートを打ち込んだ瞬間に接触面から瞬時に熱を奪われて凍結が進行する。このため北海道の冬期施工では、構造物全体を足場と防風シートで完全に包み込む「雪寒仮囲い(上屋)」を組み、ジェットヒーター等で内部空間全体を加温する大規模な給熱養生が標準実務となる。しかし仮囲い給熱は莫大な燃料費とCO中毒防止の換気管理を伴い、さらに部材内部の水和熱と外気温の急激な温度差による温度ひび割れや、解体時の急冷破壊のリスクを常に抱える。近年では通年施工推進協議会の指針に基づき、水セメント比を50%以下、空気量を4〜7%に管理し、打設後24時間5℃以上を保持できる場合に耐寒剤を用いて給熱設備を省力化する技術も導入されているが、10N/㎟到達におおよそ5日、20N/㎟到達におおよそ14日を要するなど、本州とは次元の異なる養生管理が要求される。
現場での扱い方
打設前の型枠・鉄筋予熱と上屋内の温度管理
冬期の北海道では、型枠・鉄筋に付着した氷雪や地盤の凍結がコンクリートの熱を瞬時に奪い初期凍害を引き起こす。打設直前に熱風ヒーター等で型枠内および鉄筋を十分に予熱・解氷し、打ち込み時のコンクリート温度が急激に低下しないよう養生上屋内の温度管理を徹底する。
ジェットヒーター給熱時の湿潤保護と一酸化炭素中毒防止
寒中給熱養生では、ジェットヒーターの熱風がコンクリート表面に直接当たると急激な乾燥収縮ひび割れを引き起こす。散水養生や湿潤マット、ブルーシートによる表面被覆で湿潤状態を保ちながら間接加温を行い、作業員の安全確保のため換気装置と一酸化炭素(CO)検知器を常備する。
現場同条件養生供試体による脱型強度確認と段階的冷却
外気温が氷点下の環境で養生を終了して型枠を脱型すると、構造物の急冷によって表面と内部に大きな温度差が生じ、深刻な温度ひび割れを誘発する。所定の強度(耐寒剤工法では10N/㎟や20N/㎟)の発現を現場同条件養生供試体で確認した上で、給熱を段階的に下げて外気温に順応させながら慎重に脱型・露出させる。
資格試験での出題
2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(土木一般・コンクリート工、施工管理・品質管理)において、寒中コンクリートの適用気温(日平均気温4℃以下)、初期凍害の防止措置、養生温度の保持(5℃以上)、給熱養生時の乾燥防止および脱型時期の留意事項が頻出問題として出題される。
参考(一次情報)
- 国土交通省 土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 第1編 共通編 第3章 無筋・鉄筋コンクリート 第10節 寒中コンクリート 1-3-10-1・1-3-10-3 ↗出所:国土交通省/確認日:2026-09-28
- 通年施工推進協議会 耐寒剤を用いる寒中コンクリート施工指針 第4章 配合・第6章 養生 ↗出所:国土交通省 通年施工推進協議会/確認日:2026-09-28
- 通年施工推進協議会 耐寒剤運用マニュアル(案) 平成17年3月 2.耐寒剤の選定 (1)保温養生条件(P.2) ↗出所:国土交通省 通年施工推進協議会/確認日:2026-09-28
関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 195社
出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。
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