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海岸・港湾

浚渫

しゅんせつ

浚渫とは

浚渫(Dredging)とは、港湾の航路や泊地、河川の河道、運河、湖沼などの水底にある土砂や堆積泥土を、専用の作業船(ポンプ浚渫船、グラブ浚渫船、バックホウ浚渫船など)や建設機械を用いて掘削・汲み上げ、水域外へ除去・搬出する土木工事のこと。船舶の安全航行に必要な計画水深を確保する航路・泊地浚渫や、河川の断面を拡げて流下能力を高め洪水氾濫を防ぐ河道掘削・河床浚渫、港湾構造物の基礎地盤となる軟弱泥土の置換除去などを主目的として施工される。掘削方式には、回転カッター等で土砂を削り水とともに吸引・排送管で圧送するポンプ方式や、グラブバケットで掴み上げて土運船に積み込むグラブ方式などがある。水底という目視困難な環境下で施工されるため、音響測深器等による深浅測量やGNSSを用いた位置・深度管理が重要となる。

全国の基準

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)第3編第2章第16節「浚渫工(共通)」3-2-16-3(浚渫船運転工)において、施工中は絶えず水位または潮位の変化に注意し、計画深度を誤らないように施工することが規定されている。仕上げ面付近の施工では過掘りを少なく抑制することが義務付けられており、設計図書に示す浚渫計画断面を超えて過掘り(余掘り)が生じても、その超過部分は出来高数量に算入してはならないと定められている。浚渫数量の確認は原則として施工前後の断面比較による跡坪測量の結果によるものとし、浚渫済みの箇所に後続の流出等による堆砂が発生した場合は、監督職員の出来形確認済みの部分を除き再施工を行わなければならない。また、港湾・河川の出来形管理基準に基づき、所定の区域が設計計画水深及び斜面勾配以上を満足することが管理規格として求められる。

教科書どおりにいかないところ

教科書や施工管理技術検定では「潮位補正を確実に行い、過掘りを抑えて計画水深以上の出来形を均一に確保し、土砂を土運船等で運搬・処分すればよい」と教わる。しかし、北海道の沿岸・河川環境においては「冬期の結氷・流氷来襲による施工不能期間」と「豊かな水産資源(サケ・マス遡上、ホタテ・コンブ漁場)を守るための極めて厳格な濁水・土砂拡散防止」という複合的な制約が立ちはだかる。道内では厳冬期に水面結氷や流氷流入が生じるため実質的な施工可能期間が春から晩秋に限られ、限られた工期内で大容量の浚渫を完了させねばならない。一方で、不用意な底泥巻上げによる水質汚濁は沿岸漁場に壊滅的打撃を与えるため、汚濁防止膜の確実な展張と濁度監視が絶対条件となる。さらに、寒地土木研究所の研究成果が示すように、発生した浚渫土砂を単なる廃棄物として沖合投棄するのではなく、釧路港の島防波堤(幅100m、延長1,100mの計画で年間約1.9tのCO2貯留を実証)や函館港の西防波堤(幅85m、延長710m)で進められているカルシア改質土等による藻場造成(ブルーインフラ)など、寒冷域の生態系保全と資源循環を両立させる高度な土砂有効活用計画が北海道の実務における決定的な要件となっている。

現場での扱い方

  • 結氷・流氷期から逆算した工程計画と船団運用

    オホーツク海沿岸や道東・道北の水域では、厳冬期に水面結氷や流氷来襲によって作業船の運航や排送管の維持が完全に不可能となる。春の解氷から秋の結氷までの限定された稼働日数の中で、潮位変動や荒天待機日数を織り込んだ実効工程を編成し、浚渫船・揚土船・土運船の船団能力を最適化して期内完工を徹底する。

  • 水産資源保全のための汚濁防止枠・汚濁防止膜の確実な管理

    北海道の沿岸・河川ではサケ・マスの遡上期やホタテ・コンブ等の定置網漁期に合わせた厳しい濁水規制が課される。グラブ浚渫船による密閉型バケットの採用やポンプ浚渫船の吸込管理に加え、作業区域周囲への汚濁防止膜の展張、水質モニタリングによる濁度監視を常時行い、漁場への土砂拡散を未然に防止する。

  • 浚渫土砂のカルシア改質・防波堤背後浅場造成等による有効利用

    航路や泊地から発生した細粒分主体の浚渫泥土は、寒地土木研究所等の技術開発に基づき、カルシア改良材等を混合して強度や水質安定性を高めた改質土として再資源化を図る。防波堤背後の浅場造成等に積極的に活用し、海藻が繁茂する藻場(ブルーインフラ)を創出して環境価値を高める施工サイクルを確立する。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(専門土木・海岸港湾、施工管理法)において、浚渫船の種類(ポンプ船・グラブ船等)の特徴、計画水深の確保、余掘りの取扱い(出来高不算入)、汚濁防止膜の管理が頻出する。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

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