Tsukuras
河川・砂防

護岸

ごがん

護岸とは

護岸(Revetment)とは、洪水時の流水の衝止、波浪、水勢による堤防や河岸の侵食・洗掘を防止し、河道断面を保持して背後地の安全を確保するために、堤防の表法面、表小段、または自然河岸の法面に築造される河川管理施設のこと。一般に法覆工(コンクリートブロック張工、石張工、法枠工等)、根固め工(消波・根固めブロック工、捨石工等)、および基礎工(連節ブロック基礎、杭基礎等)で構成される。河川管理施設等構造令に基づき、流水の作用から堤防を保護する必要がある区間に計画的に設置され、水制工や床止め工と連携して安定した治水機能を果たす。近年では治水上の安全性確保に加え、水際部の生態系保全や親水性向上に配慮した多自然型護岸や緑化ブロック工も広く採用されている。

全国の基準

河川管理施設等構造令第25条において「流水の作用から堤防を保護するため必要がある場合においては、堤防の表法面又は表小段に護岸を設けるものとする」と規定されている。国土交通省の土木工事共通仕様書(案)河川編第1章第7節(法覆護岸工)の施工管理規定では、法覆護岸工のコンクリート施工に際して水中打込みを行ってはならない旨が定められ、裏込め材は締固め機械等を用いて入念に施工することが義務付けられている。また法覆護岸工で遮水シートを布設する際は、法面を平滑に仕上げた上で布設し、止水材の重ね幅は15㎝以上、端部の取付部は20㎝以上を確保し、端部の接着においてずれや剥離が生じないよう確実に施工しなければならない。根固め工や基礎工と一体となり、河床低下による法先洗掘を防止することが施工管理の基本要件とされる。

教科書どおりにいかないところ

教科書や施工管理試験では「河川管理施設等構造令や共通仕様書の基準に従い、止水材の重ね幅(15㎝以上)等の寸法を守り、水中打込みを避けて平滑にブロックを布設・裏込め締固めを行えば護岸の機能は保たれる」と教わる。しかし北海道の河川現場では、急流河川特有の砂州移動や長時間の出水継続、さらには春先の融雪出水と凍上変状が重なり、基準通りの法覆施工だけでは護岸の崩壊を防ぎきれない現実がある。北海道の主要河川(石狩川水系など)の多くは勾配が急で河床材料の粒径が大きいセグメント1区間に属し、洪水時に交互砂州が大きく発達・移動して流水が対岸へ集中的に衝突する。寒地土木研究所等の調査報告(辺別川被災要因分析)によれば、堤防防護ラインとして必要な高水敷幅(40m)が確保されていない狭隘区間では、たとえピーク流量が過去最大規模を下回っていても、土砂移動を伴う出水が61時間もの長期間にわたり継続することで、砂州の対岸部で河岸洗掘が急速に進行して護岸法尻がえぐられ、一気に堤防流失・破堤危機へと至った事例が確認されている。さらに冬期の凍結による法面土の凍上や、春先特有の融雪出水による水圧・洗掘が加わるため、机上の法覆工規格を満たすだけでなく、砂州の挙動に応じた根固め工の重点配置や洗掘深の動的把握が不可欠となる。

現場での扱い方

  • 砂州移動と流心衝突を考慮した法先根固め工の重点配置と根入れ確保

    北海道の急流・砂礫河川では、交互砂州の発達・移動に伴い流心が対岸の護岸へ偏向・集中しやすい。法覆ブロックの施工に先立ち、将来の砂州変形による最大洗掘深を見込んだ基礎工の十分な根入れ深さを確保するとともに、洗掘を受けやすい衝突部周辺に根固めブロックや捨石を重点配置して法先からの吸い出し・崩壊を予防する。

  • 寒冷地の凍上・融雪水圧に対応する裏込め排水材の締固めと目地管理

    冬期の厳寒期における法面土の凍上や春先の融雪出水による残留水圧は、法覆ブロックの浮き上がりやはらみ出しを引き起こす。共通仕様書の規定通り裏込め材の締固め機械による入念な施工を徹底し、透水性の高い砕石・フィルター材を用いて水抜きパイプ周辺の目詰まりを防ぐ。目地部からの土砂吸出しを防止するため吸出し防止材の重ね幅・密着を確実に管理する。

  • 出水継続時間に着目した河岸変状パトロールと根固め材等の緊急投入体制

    ピーク水位・ピーク流量の大小だけでなく、出水が長時間継続する際は河岸侵食が堤防法尻まで進行するリスクが急増する。出水継続時間が長期化する場合は、堤防法尻までの離隔距離を重点監視する巡視体制を敷き、変状発見時には即座に大型土のうや根固めブロックを投入できる重機・資材配置の緊急防災体制をあらかじめ現場で構築しておく。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(土木一般・河川、施工管理法)において、護岸の構成要素(法覆工・基礎工・根固め工)、コンクリートブロック張工の施工留意事項(水中打込みの禁止、裏込め材の締固め等)、および流水・波浪に対する河岸保護基準が頻出する。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

この用語について

分からなかった点や、現場でのエピソードを運営に送れます。送った内容がこのページに表示されることはありません。

種別