Tsukuras
海岸・港湾

消波工・根固

しょうはこう・ねがため

消波工・根固とは

消波工・根固工(Wave Dissipating and Foot Protection Works)とは、海岸の堤防・護岸や河川構造物の前面・基礎周辺に、異形コンクリートブロック(消波ブロック・根固めブロック)や捨石を配置・被覆し、波浪の破壊エネルギーを減衰させるとともに、洗掘による構造物の滑動・倒壊・沈下を防止する土木工種のこと。消波工は主として海岸や港湾の防波堤・護岸前面に設置され、ブロック相互の間隙で波を砕き反射波や越波を抑える消波堤・被覆堤を形成する。根固工は海岸堤防の堤脚部や河川護岸の法尻・水制の先端等に設置され、激しい潮流や掃流力による河床・海底の深掘れを抑止する。施工方式にはブロックを一定の規則で並べる層積(整列積)と、クレーン船等で相互を噛み合わせながら据え付ける乱積(無秩序積)があり、構造物の安定性確保や背後地の波浪被害軽減に不可欠な役割を果たす。

全国の基準

国土交通省の土木工事共通仕様書(案)第3編第2章第3節「共通的工種」3-2-3-17(根固めブロック工)において、ブロック製作時のコンクリート打込みにあたってはコールドジョイント等の打継目を設けてはならず、養生用水への海水使用は禁止されている。また場所打ブロック施工での水中打込みは厳禁とされ、ブロック相互を連結する場合はボルトの連結ナットが脱落しないようネジ山をつぶす処置が義務付けられている。乱積施工を行う際はブロック同士の噛み合わせを良くして不安定な状態を生じさせないよう据え付けることが規定されている。さらに第7編河川海岸編第2章第7節(消波工)7-2-7-1において、ブロックや捨石の投入にあたっては海域・水域の濁り防止に十分注意を払うことが求められている。

教科書どおりにいかないところ

教科書や施工管理技術検定では「消波・根固めブロックは所定の空隙率と噛み合わせを確保して乱積施工し、連結材を確実に処理すればよい」と教わる。しかし、冬期の北海道沿岸(日本海・オホーツク海・太平洋)では、発達した温帯低気圧や冬期季節風がもたらす猛烈な極限波浪と漂流氷の襲来という過酷な気象・海象条件が直撃する。激甚な波力衝撃やブロック同士の激しい動的衝突、凍結融解の繰り返し(凍害・スケーリング)により、供用後にブロックの突起部が破断する「足折れ」や胴折れ、散乱・流失が多発する深刻な課題がある。寒地土木研究所の研究課題(漁網繊維混入コンクリートの品質管理と耐久性)でも示されているように、北海道では概ね2,000t/年の漁網が廃棄されており、引張力に弱く足折れを起こしやすい消波ブロックのコンクリートにリサイクルナイロン繊維を混入して靱性を高め耐衝撃性を抜本的に向上させる技術開発が進められている。本州のような平穏時の静的安定だけでなく、冬期の荒天高波・結氷・流氷衝突と長期的な耐凍害性を前提とした据付け精度と材料耐久性の確保が北海道の実務における絶対条件となる。

現場での扱い方

  • 乱積据付けにおける噛み合わせ管理と動揺防止

    起重機船(クレーン船)や大型バックホウを用いた消波ブロックの据付けでは、波浪動揺によるブロック同士の激突やワイヤ外れに警戒し、潜水士やソナー画像を活用して水中での噛み合わせ状態を確実に確認する。波力を分散させる所定の空隙を保ちつつ、冬期高波によるブロックの転動・散乱を防ぐため、隣接ブロックとの立体的なインターロッキングを形成させる。

  • ブロック製作時の打継目防止と養生管理の徹底

    消波・根固めブロックは複雑な異形形状を有し打設厚も大きいため、コールドジョイントの発生が足折れやひび割れの直接原因となる。コンクリート打込みは無打継ぎで連続施工し、脱型強度が発現するまで十分な湿潤養生を行う。また、海洋環境における耐久性を確保するため、仕様書に則り養生用水への海水使用は厳禁とし、確実な淡水養生を徹底する。

  • 冬期荒天・結氷期を見据えた据付け工程と仮置き管理

    北海道の海上・海浜施工は晩秋から冬期にかけて季節風によるシケや波浪が急増し、オホーツク海側では流氷来襲により作業が長期中断する。秋期までの据付け完了を目指してブロックヤードでの先行製作・十分な強度発現を図るとともに、荒天退避基準を定めた作業船運用計画を策定し、被覆堤の端部処理や仮置きブロックの高波流失防止措置を講じる。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(専門土木・海岸港湾、施工管理法)において、消波ブロック被覆堤の特徴、消波・根固めブロックの製作・据付け上の留意点(打継目の禁止、海水養生の禁止、噛み合わせの確保)が頻出する。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

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