Tsukuras
コンクリート工

スランプ

すらんぷ

スランプとは

スランプ(Slump)とは、まだ固まらないフレッシュコンクリートの流動性および変形しやすさ(ワーカビリティーやコンシステンシー)を定量的に評価するための品質試験指標のこと。円錐台形をしたスランプコーンにコンクリートを突き固めて充填した後、コーンを垂直に引き上げ、自重によって頂部が下垂した寸法(沈み込んだ高さ)を測定する。値が大きいほど流動性が高く型枠への充填が容易になるが、過大なスランプは材料分離やブリーディングの増大、硬化後の強度や耐久性の低下を招く。一方、値が小さすぎると施工性が著しく悪化して豆板(ジャンカ)や空隙などの充填不良を生じる要因となるため、構造物の断面寸法や配筋状況、打設方法に応じた適切なスランプの選定と現場受入時の厳格な管理が不可欠とされる。

全国の基準

国土交通省の「土木工事施工管理基準及び規格値(案)令和8年3月」第2編品質管理基準及び規格値(案)では、セメント・コンクリート工においてスランプ試験(JIS A 1101)が「必須」試験として位置付けられている。受入時の規格値(許容差)は、指定スランプが2.5cmの場合は許容差±1.0cm、5cm以上8cm未満の場合は許容差±1.5cm、8cm以上18cm以下の場合は許容差±2.5cmと定められている。試験基準は荷卸し時に実施し、頻度は1回/日以上、構造物の重要度と工事の規模に応じて20m3〜150m3ごとに1回、及び荷卸し時に品質変化が認められた時と規定されている。また、土木工事共通仕様書(案)第1編第3章第3節1-3-3-3(配合)に基づき、ワーカビリティーが得られる範囲内で単位水量を小さく設定し、示方配合表によりスランプや水セメント比を定めて監督職員の確認を得る。一般環境下における水セメント比の上限は鉄筋コンクリートで55%以下、無筋コンクリートで60%以下と定められている。

教科書どおりにいかないところ

施工管理技術検定や教科書では「スランプは流動性の指標であり、受入検査で設計値に対する許容差(8cm以上18cm以下で±2.5cmなど)を満たせば合格で、適度な流動性がある方が作業性も良い」と教わる。しかし、北海道の土木現場では耐凍害性や耐スケーリング性を高めるため、水セメント比55%以下、空気量4.5〜5.0%前後とした「低スランプ(8.0cmや5.0cm)の硬練り配合」が標準指定されることが多く、ここに積雪寒冷地特有のパラドックスが生じる。特に冬期の寒中コンクリート施工では、生コン工場で温水加熱して出荷するため水和反応が進みやすく、道内の長距離運搬や降雪・凍結路面による輸送遅延も相まって、現場到着時に急激なスランプ低下(スランプロス)が起きやすい。このとき流動性を補おうと現場で水を足す「現場加水」は、単位水量を増やし水セメント比を狂わせて耐凍害性を壊滅させるため絶対に厳禁である。数字上の許容差を満たすだけでなく、運搬に伴うスランプ低下を見越した高性能AE減水剤等の配合調整や、高周波バイブレーターによる入念な締固めなど、硬練りを確実に密実化させる現場管理が不可欠となる。

現場での扱い方

  • 生コン工場との事前協議による運搬時間とスランプロスの織り込み

    寒中施工や長距離運搬では、練混ぜ温度(温水使用)や外気温によるスランプ低下量をあらかじめ把握する。生コン製造工場と入念に協議し、荷卸し地点で所定のスランプおよび空気量規格値を確実に満足するよう、高性能AE減水剤の添加量や出荷時スランプの微調整を行っておく。

  • 荷卸し時受入検査の迅速な実施と「現場加水」の絶対禁止

    アジテータ車到着時は速やかにスランプ試験・空気量試験・コンクリート温度測定を実施し、許容差内であることを確認する。スランプ低下により流動性が不足している場合であっても、強度低下と凍害の原因となるアジテータ車ドラムやポンプホッパーへの加水は厳禁とする。

  • 硬練りコンクリートの打設ピッチ管理とバイブレーターによる密実締固め

    低スランプの硬練りコンクリートはジャンカが発生しやすいため、1層あたりの打設厚さを適正に抑え、棒状振動機(バイブレーター)を下層に差し込んで隙間なく締め固める。過振とうによる材料分離に留意しつつ、型枠隅部や鉄筋密集部への充填を目視確認する。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(コンクリート工、品質管理)において、スランプ試験方法、指定スランプごとの許容差(±1.5cm、±2.5cm)、受入検査の頻度やワーカビリティー管理が頻出する。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 148社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

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