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構造物

鋼構造物の防食(塩害・凍結防止剤)

こうこうぞうぶつのぼうしょく

鋼構造物の防食(塩害・凍結防止剤)とは

鋼構造物の防食(Corrosion Protection of Steel Structures)とは、大気中の水分、酸素、海塩粒子、および冬季に散布される凍結防止剤(塩化ナトリウム・塩化カルシウム等)による鋼材の酸化腐食(さび)を防止し、構造物の所要の耐力、安全性、および耐久性能を長期にわたって保持するための一連の技術的対策のこと。道路橋などの土木鋼構造物においては、重防食塗装(ジンクリッチペイント+エポキシ樹脂塗料+ふっ素樹脂塗料等)、耐候性鋼材の採用、溶融亜鉛めっき、金属溶射、および電気防食などが代表的な防食工法として用いられる。特に鋼道路橋では、桁端部や支承部など伸縮装置からの漏水や路面水飛沫を受けやすい部位において局部的な腐食損傷が多発するため、素地調整(ブラスト等によるケレン作業)による確実な除錆と適切な防食下地形成が塗膜寿命を決定づける最重要管理事項となる。

全国の基準

国土交通省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編)第18章第1節の施工管理規定に基づき、塗装場所の気温が5℃以下、湿度が85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、原則として塗装を行ってはならない(採暖・換気等の適切な措置を行う場合を除く)。また外部塗装は降雨のおそれがある場合や強風時には行わない。鋼道路橋の防食塗装では、鋼道路橋防食便覧に基づき、ジンクリッチペイントを下塗りとする重防食塗装系(新設C塗装系、塗替えRc-I塗装系等)が標準的に適用され、素地調整としてブラスト処理等による確実な除錆が求められる。国土技術政策総合研究所の「鋼道路橋の部分塗替え塗装要領(案)」によれば、部分塗替え塗装において新塗膜と旧塗膜の境界部には弱点部形成を防ぐため50mm程度の塗り重ね部を設け、下塗りのジンクリッチペイントと旧塗膜との重ね幅は10mm程度を確保することが示されている。

教科書どおりにいかないところ

教科書や施工管理試験では「5℃以下・湿度85%以上の制限を守り、ブラスト処理で除錆して重防食塗装を施せば、長期にわたる防食性能が維持できる」と教わるが、北海道の道路橋現場では冬期に大量散布される凍結防止剤(塩化物)と厳寒気象が重なり、教科書通りの防食計画が早期に破綻する現実がある。北海道では凍結路面対策として塩化ナトリウム等の凍結防止剤が大量に散布され、走行車両が跳ね上げる塩分を含んだ水飛沫が桁下空間に充満する。飛来塩分が風雨で洗い流されにくい主桁下フランジ上面や桁端部に高濃度の塩分が滞留し、本州温暖地を遥かに超える猛烈な腐食環境が形成される。さらに冬期の北海道は数ヶ月にわたり気温が氷点下となり、日中の融雪水が夜間に凍結して塗膜微細クラック内で凍結膨張(凍害)を引き起こし、塗膜剥離を一気に加速させる。寒冷地用塗料マニュアル(案)が示すように、低温下では塗料粘度が上昇してスプレー塗装の霧化が極めて困難となり、被塗面の温度が露点より低い場合や結露・結氷が生じている環境では塗装を行ってはならないと定められているため、現場塗替えが長期にわたり制限される。教科書的な机上膜厚計算に頼るだけでは防げず、凍結防止剤の浸入を遮断する橋面防水・伸縮装置止水の徹底や、桁端洗浄による付着塩分の定期的除去など、構造・維持管理が一体となった防食対策が不可欠となる。

現場での扱い方

  • 寒冷地用塗料マニュアルに基づく露点管理と低温下でのはけ塗り施工

    北海道の鋼橋施工・塗替えでは、寒地土木研究所の「寒冷地用塗料マニュアル(案)」に基づき、被塗面の温度が露点より低い場合や結露・結氷が生じている環境での塗装を厳禁とする。低温環境下ではスプレー塗装の霧化不良による品質低下を防ぐためはけ塗りを原則とし、塗装ブースのシート養生および熱交換型ヒーターによる加温・送風換気を行って被塗面温度と乾燥環境を確実に確保する。

  • 主桁下フランジ上面・桁端部の塩分濃縮に対する高圧水事前洗浄とブラスト

    冬期に凍結防止剤の散布を受ける路線では、走行車両の巻き上げ飛沫や漏水によって塩分が濃縮・堆積する主桁下フランジ上面および桁端部を最重点監視部位とする。塗替え塗装に先立って高圧水洗浄を実施し、鋼材表面の残存塩分を完全に除去した上で、ブラスト処理により黒皮・赤さびを除去して強固なアンカーパターンを形成する。

  • 橋面防水・伸縮装置止水の徹底と桁端防塩対策・洗浄維持管理の連動

    塗膜単体による防食に依存せず、路面からの塩化物水溶液の浸入元を絶つため、床版上の橋面防水層の確実な施工と遊間伸縮装置の非排水化(止水材の密着確認)を一体で施工管理する。また供用後の維持管理を見据え、桁端部への防塩プレート設置や、定期的な桁端高圧水洗浄が容易に行える点検足場・維持管理用通路の確保を施工計画段階から配慮する。

資格試験での出題

2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(専門土木・構造物、施工管理・品質管理)において、鋼橋の防食塗装工法、素地調整(ブラスト処理等)、気温5℃以下・湿度85%以上の塗装制限、および塩害環境下における防食管理が出題される。

参考(一次情報)

関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社

出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。

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