経営事項審査(経審)
けいえいじこうしんさ
経営事項審査(経審)とは
経営事項審査(経審)とは、建設業法第27条の23に基づき、国や地方公共団体などの公的機関が発注する公共工事を直接請け負おうとする建設業許可業者に対して義務付けられている、企業の経営状況や規模、技術力等を客観的な数値で審査・評価する制度のこと。審査項目は「経営状況」と「経営規模等」の2区分で構成され、財務内容の健全性、完成工事高、自己資本額、技術職員数、社会保険加入状況などが総合的に点数化される。これらを統合した「総合評定値(P点)」が算出され、公共事業発注機関が一般競争入札や指名競争入札において建設業者を格付け(ランク分け)する際の客観的事項として活用される。建設業法第11条第2項により決算期終了後4ヶ月以内に決算書類を提出し、同法施行規則第21条の5により総合評定値の有効期間は審査基準日から1年7ヶ月と定められているため、公共工事を受注し続けるためには毎事業年度終了後に継続して受審しなければならない。
全国の基準
建設業法第27条の23第1項に基づき、国、地方公共団体その他政令で定める発注者から直接建設工事を請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより経営事項審査を受けなければならない。同条第2項により、経営事項審査は「経営状況」および「経営規模、技術的能力その他の経営状況以外の事項」の2区分について数値による評価を行うと規定されている。具体的には、登録経営状況分析機関が財務諸表に基づき分析する経営状況(Y)と、国土交通大臣または都道府県知事が審査する経営規模(X)、技術力(Z)、社会性等(W)を総合評定値請求により一本化し、客観的な総合評定値(P点)が算出される。また、建設業法第11条第2項に基づき、建設業者は毎事業年度経過後4ヶ月以内に決算書類(財務諸表・工事経歴書等)を提出しなければならず、同法施行規則第21条の5により、総合評定値の有効期間は審査基準日(直前の決算日)から1年7ヶ月を経過する日の前日までと定められている。
教科書どおりにいかないところ
教科書や制度解説では「決算後に経審を受審して高い総合評定値(P点)を獲得すれば、客観的評価が高まり上位等級(Aランク等)で大規模な公共工事受注できる」と教わる。しかし北海道の土木現場を支える建設業の実務では、国の統一基準である客観点(P点)以上に、発注自治体(北海道建設部や各市町村)が独自に設定する「主観点(地域貢献度・工事成績・発注者別評価)」が生死を分けるという決定的な実務のズレが存在する。北海道の建設業は、厳冬期の降雪と地盤凍結により長期にわたり主要な屋外土木工事が休工・停止を余儀なくされる過酷な稼働制約を抱えている。それにもかかわらず、地域の交通網や住民生活を守るため除雪機械やダンプを保有し、重機オペレーターを通年雇用で維持し続けなければならない。この冬期コスト負担は全国一律の財務指標(Y点)や完成工事高(X点)の計算では不利に作用しやすい。そのため北海道の発注機関では、冬期の除雪出動実績や災害協定に基づく緊急復旧体制、地域雇用の維持、若手技術者の育成など、寒冷地固有の地域密着活動を主観点として大きく評価する仕組みをとっている。教科書のP点対策だけを追って財務や完成工事高の数字づくりに終始し、除雪体制や地域貢献要件といった北海道の実務配慮を怠ると、地元での指名や落札機会を失う点に地域特有の難しさがある。
現場での扱い方
審査基準日から1年7ヶ月の有効期限管理と決算後5ヶ月以内の申請
経営事項審査の総合評定値(P点)の有効期間は「審査基準日(決算日)から1年7ヶ月」であり、通知受領日からの期間ではない。申請から結果通知書の受領までに約1ヶ月を要するため、決算日から5ヶ月以内に経審の申請手続き(決算書類提出後4ヶ月以内の経営状況分析および経営規模等評価申請)を完了させ、公共工事の受注可能期間に空白が生じないよう厳格なスケジュールを組む。
北海道発注工事における主観点(除雪実績・地域貢献)の確実な獲得
北海道や道内市町村の競争入札参加資格審査では、国の客観点(P点)に発注者独自の主観点が合算されて最終等級(ランク)が決定される。冬期の幹線道路・生活道路の除雪業務受託実績、災害協定に基づく出動態勢、建設業キャリアアップシステム(CCUS)の導入、地元若手技術者の雇用・育成など、地域特有の評価加点項目を漏れなく申請し、客観点と主観点の双方を底上げする。
通年雇用維持と建設機械保有状況の適正な点検・管理体制
北海道の冬期土工や除雪を支えるバックホウ、ブルドーザー、ダンプ車などの重機保有台数は、経営事項審査のその他審査項目(W点)における建設機械の保有状況として加点対象となる。加点を受けるためには、審査基準日において有効な特定自主検査(年次検査)や定期点検を確実に受検し、有効な検査証や車検証、売買・リース契約書を整備しておく必要がある。冬期休工期であっても点検漏れを起こさないよう重機の維持管理を徹底する。
資格試験での出題
2級土木施工管理技士経営事項審査は施工管理技術検定の直接の試験範囲外であるが、公共工事の入札参加資格(格付け・ランク付け)および施工体制台帳の作成、企業の経営基盤・技術者配置を理解する上で建設業界全体の最重要制度として実務上必須の知識である。
参考(一次情報)
- 建設業法 第2章 第11条第2項(決算書類の提出)・第4章の2 第27条の23(経営事項審査) ↗出所:e-Gov法令検索/確認日:2026-09-19
- 建設業法施行規則 第3章 経営事項審査 第21条の5(総合評定値の請求等の期間) ↗出所:e-Gov法令検索/確認日:2026-09-19
- 根室振興局産業振興部建設指導課 経営事項審査 2.経営事項審査の有効期間について・3.申請等手続きについて ↗出所:北海道根室振興局/確認日:2026-09-19
- 北海道建設部建設政策局建設管理課 経営事項審査について 有効期間・申請等について ↗出所:北海道建設部/確認日:2026-09-19
関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社
出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。
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