地盤改良
じばんかいりょう
地盤改良とは
地盤改良(Ground Improvement)とは、構造物の基礎地盤や盛土の基礎、道路路床などに存在する軟弱層の力学的・水理学的性質を人工的に改善し、支持力の向上、不同沈下の防止、斜面・掘削面のすべり破壊防止、液状化の抑止などを図る一連の土木施工技術のこと。軟弱な土を良質土に掘削・入れ替える「置換工法」、セメントや生石灰等の固化材を原位置土と混合撹拌して固化させる「固結工法(深層混合処理工・表層安定処理工)」、砂杭等を打ち込み地盤を密実にする「締固め工法(サンドコンパクションパイル等)」、排水材を打設して間隙水を早期に脱水・圧密させる「脱水工法(バーチカルドレーン工等)」などに大別される。土木構造物の重要度、供用期間、軟弱層の厚さや土質性状(粘性土、砂質土、有機質土等)、地下水位などの現場条件に応じて最適な工法が選定される。
全国の基準
国土交通省の土木工事共通仕様書(案)第3編土木工事共通編第2章一般施工第7節「地盤改良工」において、路床安定処理工、置換工、表層安定処理工、パイルネット工、サンドマット工、バーチカルドレーン工、締固め改良工、固結工等の施工管理基準が定められている。路床部の置換工においては、一層の敷均し厚さを仕上がり厚で20cm以下として入念に締め固めることが規定されている。また、セメントや石灰等を用いる固結工(撹拌混合・薬液注入等)の着手前には、撹拌及び注入する材料について事前に配合試験と一軸圧縮試験を実施し、設計図書に示された目標強度の発現を確認しなければならない。生石灰パイル工法を施工する際には、パイル頭部を1m程度空打ちして砂または粘土で埋め戻すこと、中層混合処理の改良材にはセメントまたはセメント系固化材を用い、撹拌翼を有する機械で均一に混合することなどが規定されている。
教科書どおりにいかないところ
施工管理技術検定や標準的な土木教科書では「軟弱地盤に対してセメント系固化材や生石灰を原位置で混合撹拌する固結工(深層混合処理工法等)を適用すれば、室内配合試験に基づき所定の一軸圧縮強度が得られ、支持力確保と沈下抑制が達成できる」と教わる。しかし、石狩平野や十勝平野をはじめ道内に広く分布する「泥炭性軟弱地盤」では、教科書通りの配合設計では固化不良や強度発現不足が頻発するという決定的な地域的パラドックスが存在する。泥炭は植物遺骸が未分解のまま堆積した極めて特異な有機質土であり、自然含水比が数百%から千%以上に達し、強酸性を示すとともにフミン酸等の有機物質を多量に含む。これらの有機物がセメントの水和反応を著しく阻害するため、一般的な固化材では強度が発現せず、通常の数倍の固化材添加を要するか、あるいは全く固まらないトラブルが発生する。また、極めて軟弱な泥炭層では地盤改良のみや長大杭のみに依存すると基礎構造が過大化し工事費が高騰する。寒地土木研究所が策定した『北海道における複合地盤杭基礎の設計施工法に関するガイドライン』が示すように、杭に地盤改良を併用して従来の基礎構造に対して平均30%程度の建設コスト縮減を図るなど、泥炭特有の有機物・超高含水比に対応した特殊固化材の選定と複合基礎の採用が北海道の実務における要諦となっている。
現場での扱い方
泥炭有機物(フミン酸等)に対応した特殊セメント系固化材の選定
泥炭地盤の固結改良では、フミン酸等によるセメント水和反応の阻害を防止するため、普通ポルトランドセメントではなく有機質土用・泥炭用に開発された特殊セメント系固化材を採用する。事前の室内配合試験において土質性状やpHを確認し、長期的な強度発現性と配合量の妥当性を厳密に検証する。
施工着手前の室内配合試験・一軸圧縮試験と現地試験施工の徹底
土木工事共通仕様書に基づき、固結工の施工前には対象土と改良材を用いた配合試験および一軸圧縮試験を実施して目標強度を確認する。特に泥炭層では深度方向に含水比や有機物含有量が激しく変動するため、複数深度から試料を採取して試験を行い、現地試験施工で撹拌効率と改良径の均一性を確認する。
複合地盤杭基礎の採用によるコスト縮減と沈下・支持力バランスの確保
厚い泥炭層上の構造物基礎では、寒地土木研究所のガイドラインを参考に、杭基礎と地盤改良(深層混合処理等)を組み合わせた複合地盤杭基礎を検討する。地盤改良によって杭頭部の水平抵抗を高めつつ杭本数を削減し、従来の基礎構造比で平均30%程度のコスト縮減と許容沈下量内の支持力確保を両立させる。
資格試験での出題
2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(土木一般・基礎工、施工管理法)において、地盤改良工法(置換工法・固結工法・脱水工法・締固め工法)の原理・特徴、セメント系固化材の配合試験、置換工の敷均し厚さが頻出する。
参考(一次情報)
- 土木工事共通仕様書(案)令和8年3月 第3編 土木工事共通編 第2章 一般施工 第7節 地盤改良工 3-2-7-1・3-2-7-3・3-2-7-9 ↗出所:国土交通省/確認日:2026-09-22
- 寒地土木研究所 北海道における複合地盤杭基礎の設計施工法に関するガイドライン「はじめに」 ↗出所:寒地土木研究所/確認日:2026-09-22
関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社
出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。
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