測量(丁張り)
そくりょう(ちょうはり)
測量(丁張り)とは
測量(丁張り)(ちょうはり・遣り方 / Setting-out and Batter Boards)とは、土木工事や建築工事の施工に先立ち、設計図書に示された構造物の位置、基準高(標高)、法勾配(法面の傾斜)、掘削深さや盛土高さなどを現地に実寸大で明示するために設置する仮設の基準木枠・標識のこと。基準点測量や水準測量に基づき、木杭(杭木)を打ち込み、貫板(ぬきいた)や水糸、スラント(勾配板)を取り付けることで構成される。切土・盛土の境界を示す「法丁張り(のりちょうはり)」や構造物基礎の位置・高さを出す「陸丁張り(ろくちょうはり)」等があり、重機オペレーターや作業員が施工すべき面や高さを直接視認するための不可欠な施工基準線となる。施工測量によって正確に設置されるとともに、工事期間中の振動や地盤沈下、重機の接触等によって動かないよう堅固に維持・点検することが求められる。
全国の基準
測量法第10条第1項において測量標(永久標識、一時標識、仮設標識)が定義され、同項第3号により仮設標識として「標旗及び仮杭」が規定されており、施工現場に設ける丁張りや仮杭等は工事基準を示す標識としての性格を持つ。また、国土交通省の土木工事共通仕様書第3編(土木工事共通編)第1章「総則」の工事測量の規定において、「受注者は、丁張、その他工事施工の基準となる仮設標識を、設置しなければならない。また、監督職員から確認が必要であると指示された場合は、その確認を受けなければならない」と明記されている。さらに同仕様書の盛土工等の規定では、軟弱地盤上の盛土施工に際し沈下のおそれがある場所の盛土の丁張りを常時点検することが義務付けられている。施工管理技士試験では、水準測量による地盤高・計画高の測定、丁張りによる法勾配や中心線の明示方法、工事中の変位確認および復元手順が施工測量の基本知識として出題される。
教科書どおりにいかないところ
教科書や施工管理技術検定では「土工や基礎工に先立ち、正確な測量に基づいて木杭と貫板による丁張りを設置し、水糸やスラントで法勾配を明示して施工精度を管理する」と教わる。しかし、寒冷・多雪地である北海道の土木現場実務では、この「木製丁張りの設置・常時維持」に依存すること自体が、工程遅延や安全上の重大なリスクを引き起こすという実務のパラドックスに直面する。北海道では初冬から春先にかけて地盤が深く凍結(凍結深度50cm〜1m超)するため、通常の木杭を打ち込むこと自体が極めて困難であり、無理に設置しても春先の融雪・地盤融解時に地盤が泥濘化して杭が不等沈下・傾斜し、丁張りが狂ってしまう。さらに厳冬期の吹雪による積雪・吹きだまりで丁張りが埋没・倒壊するほか、除雪機械や大型土工重機が接触して破損する事故が日常茶飯事となる。このため近年の北海道の現場実務では、北海道農政部のガイドライン等に基づき、3次元設計データとGNSS・マシンコントロール(MC)/マシンガイダンス(MG)建機を連携させた「丁張りレス施工(ICT土木)」が急速に標準化している。試験では丁張りの正確な設置計算を問われるのに対し、北海道の実務では「凍結・吹雪下で狂いやすい丁張りをいかに現場から無くし、重機作業半径内の補助作業員をゼロにして省人化・安全性向上を図るか」が施工管理の最重要課題となっている。
現場での扱い方
地盤凍結期・融解期における仮ベンチマークと丁張りの変位点検
やむを得ず木製丁張りを使用する場合、厳冬期の地盤凍結による凍上隆起や、春先の融雪・地盤融解に伴う脚部不等沈下によって丁張りの標高や傾きが狂いやすい。不動地盤や既設構造物に設置した堅固な仮ベンチマーク(KBM)から定期的に水準測量を実施して丁張りの狂いを日常点検し、変位が確認された場合は速やかに測量し直して丁張りを復元・修正する。
ICT建設機械(MC/MG)導入による「丁張りレス施工」と作業安全の確保
大規模土工や道路土工では、3次元設計データとGNSS・トータルステーション(TS)を搭載したマシンコントロール(MC)やマシンガイダンス(MG)建機を活用し、丁張りレス施工を推進する。丁張り設置・復旧に要する人員と時間を全廃するとともに、稼働中の大型重機作業半径内に補助作業員が立ち入る必要をなくし、接触・挟まれ事故の危険を根源から排除する。
軟弱地盤・泥炭地盛土における沈下測定と丁張り補正の連動
北海道に多く分布する泥炭性軟弱地盤での盛土工事では、土木工事共通仕様書の規定通り、盛土荷重による地盤沈下で丁張りが引きずられて沈降・移動する。盛土中央部および法尻に沈下板を設置して地盤沈下量を常時観測し、沈下量に応じて丁張りの計画高さを段階的にかさ上げ補正することで、出来形不足や過剰盛土を未然に防止する。
資格試験での出題
2級土木施工管理技士施工管理技術検定の第一次検定(共通工学:測量、施工管理法:土工)において、水準測量による地盤高・法長計算、丁張り(法丁張り・陸丁張り)の設置目的と管理方法、軟弱地盤上の盛土における沈下点検に関する問題が出題される。
参考(一次情報)
- 測量法 第1章 総則 第10条(測量標)第1項本文及び第3号 ↗出所:e-Gov法令検索/確認日:2026-09-23
- 関東地方整備局等 土木工事共通仕様書 令和4年3月版 第3編 土木工事共通編 第1章 総則 3-1-1-11 工事測量 第2項(仮設標識) ↗出所:国土交通省 関東地方整備局/確認日:2026-09-23
- 北海道農政部 情報化施工技術の活用ガイドライン【補足版】 令和2年3月版 第3章 ICT施工の導入効果 3.1 作業時間の短縮及び省人化効果(P.11) ↗出所:北海道農政部/確認日:2026-09-23
- 北海道建設部 土木工事共通仕様書 令和5年10月版 第1編 共通編 第1章 総則 1-1-1-16 施工測量 第6項(仮設標識) ↗出所:北海道建設部/確認日:2026-09-23
関連する工種で、資格取得を支援する道内の会社 144社
出所:北海道入札参加資格者名簿の加点項目「技術者の育成」。会社の自己申告ではありません。
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